共働き世帯が増えたことでここ数年の間に益々増えてきた家事代行サービス。
家事代行サービスを利用する人の年齢層は幅広く、独身者、子育て世代からシニアまで多くの世代にわたっています。そしてまた、家事代行サービスで働いている世代も若年層からシニアまで、と幅広い年齢層の人たちがいます。
とはいえ、「家事代行をやってみたけど疲れる…」という口コミは多いようです。
例えばネット上でもこんな意見がありました。
- 体力的にしんどい
- 精神的に疲れてきた
- 給料が割にあわない
- 依頼内容がむずかしい
たしかに時間内に終わらない(泣)というような内容の依頼を提案された場合、受ける前から疲れを感じてしまいます。
私も最初は依頼内容に対して使う時間の配分に苦労しました。
しかし、「事前のヒアリングでしっかりと依頼者の方の要望を聞いた上で時間内にできることを提案していく」などのポイントを押さえれば家事代行はそれほど大変な仕事ではなく、むしろ楽しい部分もあるのです。
この記事では家事代行の仕事は疲れることが多いと思っている人、また疲れる仕事なら最初から家事代行の仕事をやらない方がいいのかも?と感じている人に対して実際に家事代行を仕事にしている私がポイントをお伝えします。
目次
家事代行って疲れる仕事?実態は…
家事はまじめにやると結構体力を使う作業ですから疲れます。(冬の時期でも半袖作業です笑。時には汗をかきながらの作業となることも)ましてや仕事としての作業なので当然報酬が発生します。すると適当に片付けるというわけにはいきませんので、ある程度は疲れる仕事であると心得ておきましょう。
ただし、手を抜くということとは違ったコツや要領のよさを発揮すればただやみくもに疲れるだけの仕事とはいえないと思います。
このあたりは家事が好きな方や長年家事に携わってきた熟年主婦の方には強みになるのでは、と思っています。
体力的にしんどい?
確かに体力を必要とする仕事ではあるものの、『作業時間中は全力疾走しっぱなし!!』というわけではありません(笑)普段の家事をするときのイメージはどうですか?状況にもよりますが、ヘトヘトになって動けない…なんてことの連続ではないはずです。
体力が必要?家事代行はシニアには無理?
長年の家事経験があり、割と家事を得意としてるので仕事として家事代行をできるかも?と一瞬思ったものの、やっぱり体力が必要な仕事だとシニアには無理なの?と打ち消す考えが浮かんでくるかもしれません。ですが、シニア層だから無理とは一概にいえません。
それは単純に年齢では区切れないからです。人それぞれ体力的な違いがあり、シニアであっても持病もなく行動的に動ける方もいます。ある程度健康に自信のあるシニアの方なら自信をもって家事代行を仕事にするという選択もアリだと思います。
何歳まで働ける?
とはいえ、仮に家事代行の仕事を始めた場合にどのくらい長く続けられるのかという点が気になるのでは?
始めたからには続けたいと思うけど、自分の体力も若い頃と同じくらいに自信があるわけじゃないし。それに年齢で判断されて、実際に仕事の依頼がちゃんとくるのか、その辺りが気になるのだけれど…。
家事代行サービスの会社はたくさんありますが、自分にあった働き方を自分で決められるので自分の体力に合わせた働き方が可能です。また、以下のように
- 保育士、栄養士、整理収納などに関する資格をもっている
- 資格がなくてもどういう家事を得意とするか?などの自己アピールをプロフィールに載せる
と依頼につながるような方法を考えることも大切です。
そもそも家事代行サービスに登録ができているスタッフさんは家事代行の仕事ができると判断されている方たちです。(誰でもかれでも「やりたいです!」と手を挙げただけで面接もナシに通る人がスタッフとして登録されているわけではありません。もしそんな人たちがスタッフとして登録されていたとしたら…怖いことです苦笑)
精神的に疲れてきた
家事代行をある程度づづけていく中でさまざまな場面に遭遇したり、作業に対して報酬が見合っていないなどの思いが積み重なると精神的に疲れを感じてしまいます。
家事代行は勤務形態が雇用の場合と個人事業主としてサイトに登録して働く場合のふたつに分かれます。ここでは主に個人事業主として仕事の依頼を直接受ける場合に的を絞ってお話しをしていきます。
さまざまな場面を具体的にいうと依頼内容が自分のイメージするものと大きくかけ離れているということです。下にいくつかパターンをあげてみました。
「モノが多く片付けが苦手です。掃除全般も苦手としているのでザっとでいいので片付けてくれると助かります」というボヤっとしたイメージで伝えてきたような依頼。
実際は足の踏み場もないほどにモノがあちこちに散乱していて、掃除も数か月(下手したら年単位??)はしていないのでは?というお宅だと始める前から逃げ出したくなります。勿論、こういった状況が事前にわかる場合は依頼をお断りしても問題はありません。(というか、お断りしましょう)
このような状況の依頼は「家事代行」のサービスには該当しないので、受けなくても大丈夫です。こういったご依頼は便利屋さんに引き受けてもらいましょう。
汚れ具合の認識に違いがある。
依頼者の方が「大した汚れではない」もしくは「家事代行スタッフはプロだから簡単に汚れを落とせるはず」と汚れを甘くみている場合。家事代行でお掃除の仕事をしている人の中には「きれい好き」や「散らかりが気になる」という人の割合が多くみられるので、汚れを残したままの中途半端な状態で作業を終わらせることに若干の抵抗を感じる人もいます。
とはいえ、限られた時間の中での作業ですから開始前に「どこまで汚れが落ちればいいか」の確認を必ずしておきましょう。確認をすることによりお互いの認識のズレを埋めることができ、作業完了後の仕上がり具合に納得してもらえると思います。
依頼内容が濃密すぎる場合。
具体例として
- 家事代行を仕事にしている人は物凄く早く多くのことを片付けることができると思われている。
- お金を払っているのだからできるだけ多くのことをやって欲しい、など。
そのような気持ちのあらわれなのか??「これ…依頼者の方は自分でもできると思っている内容なのだろうか?」と思うこともしばしば。しかし、これは家事代行サービスを利用したことがない方に多くみられる傾向です。
まだ家事代行の仕事を始めたばかりの頃に、作業内容が多く、明らかに時間内に終わらない内容の依頼をお願いされ、一度運営側に聞いたことがあります。その時に「(特に初心者の)依頼者さまは【できるか、できないか?】というよりただ単にやって欲しいことをあげていると思うので、作業後の希望する仕上がりのイメージを聞き出しながらお話を進めていくといいと思いますよ」とアドバイスをいただきました。
自身のプロフィールにお掃除やお料理の大まかな作業時間を載せていますが、よく読んでいない方も多い気がします(笑)よって、メッセージのやりとりでできること、かかる時間、など詳細の打ち合わせをしっかりします。
給料が割に合わない
体力も必要だし、いろいろなことの積み重ねで精神的に疲れてきた、そう考えると続ける意味もわからなくなってきます。その上「こんなに大変な思いをしているのに給料が割に合わない」となればもう家事代行の仕事は辞めよう…と思ってしまう。そう感じてしまうのもある意味ごく自然な流れだと思います。
給料が自分の仕事に対しての評価額だと考え、その給料が割に合わない額だと感じてしまうと仕事を続けようとするモチベーションも下がってしまいます。
時給の相場は?
各企業が出している求人情報の平均金額はパート、アルバイト登録では1143円、派遣社員では1245円となります(2023.10月現在)
企業によって会社に雇用する形、個人事業主(フリーランス)として働く形とそれぞれ違いがあるので、賃金にも差がみられます。(ちなみにタスカジでは1230円がスタートの時給で段階的に上がっていくシステムになっています)
また、依頼者の方の利用金額を高めに設定している家事代行サービスのサイトもあります。利用料金が高い分、依頼の中にさまざまなサービスが受けられるといった特典を設けており、他の家事代行サービスとの差別化をはかってます。サービスの質が高い分利用金額も比例して高くなり、それが時給にも反映されています。(その分研修も厳しく礼節を重んじるなど、サービスに見合った対応を身に着けることが求められているという側面があります)
家事代行の仕事を肉体労働も含むサービス業と考えた場合、1200円台の時給が高いのか、安いのか、妥当なのかの判断は個人によってわかれると思います。また、最初はご奉仕時給のスタートであっても、段階を踏むことで高額時給へと昇格しているスタッフさんもいらっしゃいます。となると、家事代行で得られる給料=スキルに見合った報酬と考えればある程度は納得となるかもしれません。
依頼内容がむずかしい
先ほどお話ししたパターン3でも触れましたが、特に家事代行をはじめて利用する方は8、9割といっていいほどここに該当します。
依頼内容がむずかしいというか、内容が盛りだくさんの場合がほとんどです。
依頼内容にどうやって対応するの?
私の場合のお話をさせていただくと、家事代行の仕事は料理と掃除の依頼を受け付けており作業時間は休憩なしの3時間です。(時間延長のシステムもあるので依頼者さまが希望されるのであればシステム上の対応は可能です。しかし私が可能ではありません笑。理由はパフォーマンスが下がるからです)
ある依頼者さまからのご希望は
【掃除】水回り(浴室、洗面所、トイレ、台所)と掃除機かけ、床拭き
【料理】お料理を3~4品
でした。これを3時間でお願いします、と。
(ゆっ…許してください(泣)ご勘弁を!!という心境になりました)
こういった場合は
- 各箇所にかかるおおまかな時間を再度お知らせする
- 依頼者の方が作業の中で一番優先したいこと
- 気になっている汚れや場所はあるか
- 時間が余った場合にしてほしいこと
- 省略しても構わない作業
を事前のヒアリングでしっかりと聞き出し当日の作業内容をはっきりとさせておきます。
こうすることによりむずかしいと感じる依頼であってもこなしていくことはできます。
対応がむずかしく依頼をお断りしたことも
体調不良により伺うことができず、ご依頼をお断りしたことが一度あります。
そのご依頼さまは定期的にご利用くださる方で二日前のキャンセルにもご理解いただき、その後もご依頼をいただいております。
しかし、このような形ではないケースでお断りをしたことがあります。
「ひとに対する接し方」がとても残念な依頼者さまとの関わりに「これから先もこの方のご依頼を受けるのは無理だな」と感じ丁重にお断りを申し上げました。(念のため書き加えておきますがもめてはいません)
個人的な意見ではありますが、「辛いな」「無理」と感じながらも依頼を引き受けるのはやめた方がいいです。相手の不便を解消してあげることも大切ですが、だからといって自分が無理をしながら依頼を引き受ける必要はないと思います。
家事代行をやってみて思うこと
一番に感じたことは自宅でする家事と仕事でする家事は違うということ。
自宅であれば自分のペースで時間をかけても省略しても自由です。しかし、限られた時間の中でどれだけ依頼者さんの要望に応えるように作業を進めていくか、というのは考えナシにできることではありません。コツや要領が必要となってきます。
時間配分と作業内容のバランス
ここはやはり頭を使います。
思っていたより時間がかかりそうだ、かかってしまった場合は省略しても問題がなさそうなところ(あまり汚れていないところ、など)を見つけ時間の配分を調整します。
しかしこれは依頼者の方のお掃除に対しての感覚によって違いがあります。
目立つ汚れがなくなっていればいいので、ドアや浴室の拭き上げは時間に余裕があればで構いません。
クイックルワイパーもあるけど、できれば床拭きは全面手拭きでお願いしたい。その方が汚れをキッチリ落とせるよね?
願わくば依頼者Bさまはご遠慮したいタイプです(笑)
これも事前の打ち合わせを細かく行い、お互いのズレをないようにしておくことが作業中の自分を助けることにつながります。
そしてお料理の場合は「手際」が重要になってきます。
- 使う野菜を全て最初に切っておく
- 下味が必要なもの、煮込み時間がかかるもの、などは先に調理を始める
- ガス、IHともにグリル部分は温まっている状態の方が汚れ落ちもいいので、調理の合間にある程度の汚れを落としておく
- 出来上がったものを冷蔵庫にしまう、使用した調理器具などの洗い物も隙間時間に片付ける、とマルチタスクをこなすイメージで!
依頼がお料理だけの場合であっても使用したキッチンをきれいに片付けるのは必須事項だと私は考えます。いくら品数をたくさん作れたとしても、汚れたキッチンで「お料理終了!」というのは好ましくありません。片付けまでがお料理のお仕事です。
場数を踏めば慣れてくる
やはり最初のうちは知らない方のお家にお邪魔するわけですから緊張しましたね。平気な顔をしながらも時計をチラチラ見ながら時間を気にしながらの作業でした。
しかしこれも回数をこなせばいい意味で慣れてくるので段々と要領もよくなっていきます。また、いろいろな依頼者さまからの依頼を受けることにより、人によってお掃除やお料理に対するイメージや思いに違いがあるということが具体的にわかってきました。
当たり前といえば当たり前のことなのですが、家事に対する感覚というのはご家庭それぞれ違いがあり、それをいかに汲み取ることができるかがある意味ポイントなのかもしれません。
経験を積む、ということを重視したかったので定期(決まった依頼者さまのみ)での依頼は受けずにスポット(1回限り)の依頼を受けるという働き方を続けています。
しかしながら、スポットでお願いされた依頼者さまにまたリピートの依頼を受けるという継続した関係を築けている方もいらっしゃいます。ありがたいことです。
家事代行の仕事を続けている理由は二つ
こうして改めて考えてみると確かに家事代行は疲れる仕事であり、決して楽に続けられる内容の仕事ではないのかもしれません。また、デメリットだと感じることを解消できなければただの疲れるだけの仕事になってしまい、続ける意味がわからなくなります。
ではなぜ私がこの仕事を選び、続けているのかというとその理由は二つ。
- 家事が好きだから
- 昔の自分を助ける感覚で仕事をしたいから
と思いっきり自分優先の理由です。
家事が好きだから
掃除をして汚れが落ちると「おお~っ」と達成感に満たされ、きれいに掃除された場所を見ると自分の気持ちもスッキリします。
また、時間配分を決めてモクモクと集中して作業をしてその通りにコトが運んでいく。誰にも邪魔されずに自分のペースで進められることはある意味快感でもあります。(わかってもらえるでしょうか?この感覚…)
昔の自分を助ける感覚
作業中に依頼者さま(ママ)とお子さんが楽しそうに遊んでいる声が聞こえてくると「ああ、この時間が他のゆとり時間にあてられているんだな」と思い気持ちがほっこりしてきます。(そして特に小さい子どものおしゃべりや笑い声はかわいくて癒されます)
私自身の子育て期間中は本当に余裕のない毎日でした。思い起こせば黒歴史(笑)の日々で褒めるよりも叱ることの方が多く、振り返るともっと子どもたちと遊ぶ時間をとりたかったな、ゆっくりする自分の時間がほしかったな、そして時には病気で寝込んでしまいたい(いっそ病んでる方が楽かも?と考えることも←ヤバいレベルですね)そう思うことがありました。
そのような経験から「ホッとする時間がほしい」と思っている方のサポートができたら昔の自分も救われるかも?という(ちょっと変わった)考え方で家事代行の仕事をしています。
そしてせっかくフリーランスで働くのなら、自分が楽しめたり好きだと思えることを仕事にしよう!と。なので大したストレスを感じることもありません。(勿論ゼロではありませんが)
まとめ
いかがでしたか?
家事代行の仕事は疲れることが多いと思っている人、また疲れる仕事なら最初から家事代行の仕事をやらない方がいいのかも?と感じている人に対して具体的にいくつかポイントをお伝えしてきました。
- 体力的にしんどい→自分のペースで仕事を受ける
- 精神的に疲れてきた→事前の打ち合わせを密に、時には断ることも必要。
- 給料が割に合わない→報酬の基準を自分の中で決めておく
- 依頼内容がむずかしい→事前の打ち合わせ確認を行い、できる作業を明確にしておく
この記事を読んでいる人の中で「家事はむずかしい仕事じゃないし稼げそうだから」という理由で家事代行の仕事をはじめたものの、「やっぱりただの疲れる仕事だし、思ったほど稼げない」と続ける意味を見つけられない場合は、一旦おやすみしてみるのもひとつの方法です。その上でやっぱり自分には向いていないと感じるならばスッパリとやめてしまいましょう。
家事代行の仕事は本業もしくは副業であってもフリーランスでお仕事をしている方がほとんどだと思います。であるならば、家事代行という仕事が好きで自分自身が楽しんでやっている、やりがいを感じる、と思えることが大切です。そうすることにより、仕事の作業効率もよくなり収入アップへの道もより近くなっていくのではないかと思います。
仕事をするからには、その仕事が好きか、好きと思えるかどうか?
いったん立ち止まって考えてみてください。。