今や飲み物だけでなくありとあらゆるお菓子にも使われている抹茶。海外からの観光客にも人気があり、おみやげとして抹茶製品をごっそりと買っていく方も多くみられます。
抹茶は粉末のためお菓子づくりには最適なのですが、飲むとなると少々厄介に感じることもあります。煎茶とは淹れ方が違うため、うまく混ざらずダマになって湯呑の底に残ってしまうことも多くの方が経験済みでしょう。
- 抹茶は水に溶けない?
- 抹茶をつくるときの適温は?
- 抹茶を混ぜるときに気をつけることは?
- 抹茶をダマにしない方法はあるの?
結論からいうと淹れ方のポイントを押さえれば誰でも簡単においしい抹茶を淹れることができます。この記事では抹茶の特性を知り、ダマをつくらない方法やおいしく抹茶を飲む時のお湯の温度、淹れ方などを解説します。
目次
抹茶おは水に溶けない?
抹茶は粒度が細かいお茶(てん茶)の粉末です。そのため、混ざりますが水に溶けることはありません。
抹茶の特性は「固まりやすい」
抹茶の粉にある固まりには水分が含まれていて、その抹茶が容器内で押し固められることによってそれぞれ大きさの違った固まりになります。 粉の固まりができる要因は、粒の大小がばらばらになっているからです。 粒が均一でないためお湯で混ぜても均等に溶けず、ベタっとした抹茶の固まりができてしまうのです。
抹茶をダマにしない方法は?
小麦粉を目の細かいザルで「ふるい」にかけたことはありますか?
それと同じ要領で、抹茶の粉は一度「茶こし」を使ってふるいにかけておくと固まりがバラけてサラサラとした均一の粉の状態になります。すると混ぜた時にダマができにくくなるのです。
本格的な淹れ方とはかけ離れてしまいますが、まず先にお湯でペースト状にしておく。こうするとダマができにくくなるので効果的です。
抹茶の溶かし方は?
①高温のお湯を使う。(お湯の温度が低いとダマが残ります)
②お湯を注ぐときは一気に。
➂お湯を注いだら素早く混ぜる。粉全体に均一にお湯が行き渡るようにまんべんなく混ぜることがポイントです。
抹茶を溶かすのに最適な温度は何℃くらい?
先述した通り抹茶を溶かすには高温のお湯が適しています。その点からいうと、沸騰したお湯をそのまま注げば粉の固まりを防ぐことはできます。
しかし沸騰したままのお湯を直接注ぐことにより、抹茶からは強い苦味がでてしまいます。すると抹茶本来の味が損なわれてしまいます。
苦味をださないためには一旦別の器にお湯を注ぎお湯の温度を下げます。ひとそれぞれ好みの温度があると思いますが、抹茶の旨みを一番引き出す温度は80~90℃くらいが最適とされています。
抹茶の淹れ方
普段飲みとして気軽に味わいたいところですが、せっかくなので簡単に味わう方法と、少し本格的に飲む方法をご紹介します。
普段飲み
少々味気ない気もしますが、少し大きめのマグカップで。
まず、茶こしでふるいにかけた抹茶をカップに入れます。それからお湯を一気に注ぎ入れスプーンで手早くかき混ぜます。ここでも勿論、お湯の温度は80~90℃で♪
温度計がないからわからない、と言わずに(笑)沸騰したお湯を一旦別の器に入れることで簡単にお湯の温度は下がります。ほんの少し置く、その感覚はお茶を淹れ慣れてくると自然と身についてきます。
アイスで飲む場合も作り方は同じです。但し、氷が入ると薄くなりますからホットで飲む場合よりも多少濃いめにつくるとおいしく仕上がります。
どうしても今すぐアイスで飲みたい!と思ったとしても、お湯から淹れて氷で冷やす作り方をおススメします。少量のお湯で少し溶かして、水を注げば大丈夫と思っても固まりやすい抹茶の特性を忘れてはいけません。
カップの底に粉の固まりが残ってしまっては、せっかくのおいしい抹茶も最後は苦味と固まりだけを味わうという、残念な味になってしまうことに…。
簡単に淹れたとしてもおいしくなければ意味がありません。最低限のお約束を守っておいしい抹茶を味わいましょう。
本格的な淹れ方
- 茶器(なければカフェオレボウルのような器)
- 茶杓(なければティースプーンで)
- 茶筅(ちゃせん)
①沸騰したお湯(40~60mlくらい)を別の容器に入れ少し冷ましておく。
②茶器に茶杓で2杓(約1.5g)の抹茶を入れる。(ティースプーン約1杯くらい)
➂お湯を入れたら茶筅で一気に泡立てるようにかき混ぜる。
いつもと違う器で、本格的な道具を使って淹れる抹茶は少し違った味わい深さが感じられるのでは?と思います。(といいながら、カフェオレボウルやティースプーンを代用可!?としているのでは説得力がありませんね笑)
余談ではありますが、茶道では宗派によって茶筅の形がそれぞれ違うそうです。そういうことに目を向けることもお茶を楽しむきっかけとなりそうですね。
実際に淹れて飲んでみた
抹茶オレなど手軽に飲めるものも市販されていますが、よほどのお茶好きでなければ普段飲みとしてわざわざ抹茶を飲む人はそう多くないのでは?と思います。
しかしながら私の場合、お菓子作りを趣味としていることもあり抹茶は結構好きなので、気が向けば飲むこともあったお茶のひとつ。この記事を書き始めたら無性に抹茶が飲みたくなり、いつもしまってある棚を探してみたものの残念ながらちょうど切らしていました。
最近はなんでもかんでも値上がりしたし、抹茶高いよね~と思いながら出先で何気なく入ったお洒落なお店(成城石井でした)さすがです。ありましたよ、抹茶。しかも「おいこ用 抹茶」なるものが….。
100gも入っているのに1000円しない!(きっとおけいこ用だからですね)たまに買うお高めの煎茶より安いじゃないか!ということで即買。チープな庶民なもので、本格的なお道具など持ち合わせておらず「普段飲み」の方法で淹れてみましたよ。(←せっかくなので本格的~といっておきながらなこの体たらく)
沸騰後のお湯を湯ざまし容器(普段お茶を淹れるときに一旦冷ますための容器。これは以前探して買いました)に入れて、茶こしで振るった抹茶をマグカップにいれて、そこへ一気にお湯を注ぎスプーンで手早くかき混ぜました。混ぜている間お湯もちょうどいい飲みやすい温度に下がった感じでした。そして、ゴグリ…。
「ん”!?うま…」(本当は「うめえじゃねぇか!」と心の中でつぶやいていました)というお味でした。淹れ方がよかったのでしょうか?(笑)おけいこ用でも充分おいしくて、抹茶らしからぬお上品でない飲み方をしてしまったほどです。
ちなみにたくさん飲みたかったのでお湯は180ccほど、抹茶は小さじ1杯弱で淹れてみました。薄からず、濃すぎずちょうどいい味に仕上がりました。
薄めが好き、濃いめが好など、好みはそれぞれだと思いますのでご自分で調節して好きな味を探しながら抹茶を楽しんでみてください。
また、おいしいからといって飲みすぎには注意してください。抹茶はコーヒー同様カフェインが含まれています。(同量の場合は抹茶の方がコーヒーよりもカフェインの含有量は多いです)
抹茶はお茶を細かく挽いたもの
いかがでしたか?溶けにくく、ダマになりやすい抹茶も温度、混ぜ方などの淹れ方を気をつけるだけで最後までおいしく飲むことができます。
抹茶の固まりやすいという特性に注意して
- 茶こしなどであらかじめサラサラな状態にしておく
- お湯は沸騰したものを少し冷ましてから淹れる
- 抹茶にお湯が行き渡るように手早く一気に混ぜ合わせる
という方法でおいしい抹茶を味わってください。
冒頭で述べた通り、抹茶は「てん茶」というお茶の粉末なので混ぜて放置すると粉が容器の底に沈殿し、上澄みが薄く、底にいくにつれ濃くなっています。
冷めると苦味を感じやすくなるので、適温の状態で飲むのが一番いいですね。大きな茶器に対して抹茶のできあがりの量が少ないのは、茶筅で一気に混ぜること(お湯がこぼれないように)と、冷めて苦味を感じないうちに飲める量にしていること(風味を落とさないようにするため)もあるのかもしれません。
抹茶以外にも、煎茶、ほうじ茶など一言で「お茶」とっても種類、品種がたくさん溢れていると思います。そのお茶のひとつである「抹茶」。甘味旨味苦味、それぞれのバランスが程よく、香りも他のお茶とは違った独特な風味が感じられます。そして、鮮やかな緑色は目に優しくまさに自然そのものといった印象が感じられます。
さらに抹茶の特性とされるものは味だけに限りません。
抹茶の元々のお茶、てん茶は日光を遮って育てられます。そうすることにより、緑茶に含まれる旨味成分の「テアニン」の減少を防ぎ、渋味成分の「カテキン」の増加を抑えられるのです。こうして作られることにより、一般的なお茶よりも旨味を強く感じるお茶に育つのです。
そんなてん茶を細かく挽いて作られた抹茶は、お茶の葉の栄養をまるごと摂取できるスーパードリンクなのでは、とそんな気さえします。(現に他の緑茶よりもビタミンC、E、食物繊維が豊富で栄養価が高い特徴を持っています)
普段飲みには少し敷居が高いような気がしていた抹茶も、日常に取り入れることで得られるものは味わいだけではなさそうです。おいしくて、健康にも一役かってくれそうな抹茶。気軽に楽しんでみてはいかがですか。